(実に珍しくも)ラノベ
- 作者: 久住四季,甘塩コメコ
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何ヶ所か物理がらみの名前を使ってる部分があった。電磁気と宇宙論(B.H.と言った方が正確)で、あんまりメジャーではない(あくまで物理をやっていない人にとって)名前だったりしたのだが、まぁ物理屋だから。もっとも気づいていない名前もあるに違いない。語感が良いから持ってきたのだろう。Bolzano-Weierstrassの定理なんかもすごく格好良い名前だと思う。
ただし魔学がらみの話については科学に対する誤解があるとしか思えなかったので少々いちゃもんを。作中で魔法などの(現代科学では記述できない)原理を定義して使用するのに文句はない。あくまで作品世界を定義しているだけだから、おもしろい作品になるのであれば大いにやっていただきたい。(この作品に関して言えばグレーゾーンの広さは気になるが)決定的に大切なのは、科学はこの世のすべてを記述しようと試みるということ。だから今までの科学に反する現象が見つかれば科学の方が間違っていた、という出発点から科学を組み立て直す。これが今まで科学が発展してきた基本的スタンス。理論と現実が食い違うのであれば理論を修正するという方向性をとる、ということで魔学は科学と反することはありえず科学は魔学を吸収しようと発展していくに違いない。その視点がなければ相対論やら量子論は決して生まれなかったはず。すべてを測定誤差だ、実験ミスだ、と切り捨てることもできたはずだから。当然作中世界のT.O.E.(Theory Of Everything)には魔学まで含まれなければならない。Everythingから何かを除外して考えるわけにはいかないので。もっとも作中にT.O.E.への言及などは皆無。最近読んだ小説にT.O.E.の話が載っていただけ。