山口雅也『生ける屍の死』

生ける屍の死 (創元推理文庫)

生ける屍の死 (創元推理文庫)

2月は1冊も読み終わらなかった。こんなことは初めてだが、この本があまりに分厚かったということも要因の1つだろう。もっとも、その分厚さに意味はあると思う。

ただレポートに追われる生活をしていると、どんなことが起こっていたのかと言うことが片っ端から頭から抜け落ちていってしまう。これから先、長編に手を出すのは極力やめておいた方がよいのかもしれない。とりあえずあと2週間ぐらいは本に手を出せないのだろうけれど。

とはいえ、特殊な設定の世界観を活かした真相は良かった。もっときつい縛りなのかと思っていたらそうではなく、その若干の緩さをうまくつかっていた。これを1週間以内に読み終えていれば評価はもっと高かったのだろう、そんな気がする。

恩田陸『黄昏の百合の骨』

黄昏の百合の骨 (講談社文庫)

黄昏の百合の骨 (講談社文庫)

試合見ながら読んでたら終わってしまった。あ、やっぱり大久保は良いFWだった。あとはシュートが枠に飛びさえすれば……。(笑)

恩田陸は肌に合わないのだろうか? 登場人物の欠点を先に見せてくるからかもしれない。解体された謎を見てもそう。好みと違うだけってことは分かっているのだが。

ミステリには「Aという情報が提示されていて、実はAという情報の中にはBという解が含まれていましたよ」という構造がある。と思う。ただ個人的な嗜好としては「Aという情報をしっかり分析したら実はBでしかありえないんですよ。この2つにはなんの関係もなさそうなのにね」という落とし方を期待してしまう。ほぼ間違いなく伝わらないたとえだが、運動方程式を変形してみたらエネルギー保存則がでてきた、というときのような心の動きがほしいわけだ。ミステリ的に楽しめるのは、うまく隠された論理とか構造のもたらすゆらぎがうまく機能している作品。そんな気がした。

もっともそれは作品をミステリ部分でしか評価しないって場合だけなんだけど。

P.A.M.ディラック『一般相対性理論』

一般相対性理論 (ちくま学芸文庫)

一般相対性理論 (ちくま学芸文庫)

あのディラックの書いた一般相対論の教科書。理系の教科書で文庫なのってこれぐらいではないだろうか? 予想通り時間は食ったが案外予備知識なしでもいける。入門書とあったのはどうやら嘘ではなかったらしい。一般相対論に関してはあと二段階を考えているが、とりあえずお休み。その他、必要なものから始めていく。

そうそう、評価の項目を推理→logicとした。教科書の類であれば常に満点となることだろう。

格好良い名前を教科書ではよく見る。正直、それだけで人生得してるんじゃないかと思う。Christoffel記号だとすごそうだけど、もし同じ記号が例えば田中記号という名前だったらどうだろう? たぶん外人から見れば漢字の方が格好良いのだろうけど。

ガモフ『不思議の国のトムキンス』

ガモフ全集 1 (1)不思議の国のトムキンス (1950年)

ガモフ全集 1 (1)不思議の国のトムキンス (1950年)

レポート用の参考書を探していたら見かけたので。

物理定数が書き換わった世界でのお話。光速が時速20km/sだったら、とかプランク定数が1ぐらいだったら、とか。設定がおもしろいので、物理を知らない人でもおすすめ。教授の解説はなかなか分かりやすい、と思うのは物理をやっているからだろうか。

綾辻行人『眼球綺譚』

眼球綺譚 (ノン・ノベル)

眼球綺譚 (ノン・ノベル)

ホラーの短編集。ミステリと共通する部分、共通しない部分。色々あるけれどやはり最後には論理が勝ってほしいなぁ。

そうくるか、っていう驚きはホラーの方が自由度が高い分大きい気がした。

エドガー・アラン・ポオ『ポオ小説全集?』

ポオ小説全集 1 (創元推理文庫 522-1)

ポオ小説全集 1 (創元推理文庫 522-1)

「アッシャー家」が入っていたので。取り立てて言うことは特にない。

オーギュスト・デュパンものは載っていない。

週1冊をきるようなペースだと、きっと短編集とかアンソロジーの方が長編よりも良いのだろう。深刻で壮大な謎を扱う作品よりもささやかな謎を扱う作品の方が楽しめるのだろう。今までとは違う読書に突入することとなりそうだ。

2008年

今年がろくに本を読めない年になるのは確かなので、読書リストをかさましするために、最後まで読み切った教科書の類も入れて統計を稼ごうかと。そんなことやっても稼げるわけはないのだけれども。

評価方法を若干変更(満点を±3→±2)し、魅力的な謎か、や読みやすさといった項目を追加。クイーンシフトをちょっとゆるめるためにlogicの項目を削除。推理という項目はまだ残っているわけだし。

これで何が変わるか? 何も変わらないだろうが、少なくとも教科書の点は圧倒的に低いだろう。読みにくいし、文章下手だし、盛り上がりに欠けるし、何より挑戦状が入っていないのだから。