ワインバーグ『宇宙創成はじめの三分間』

宇宙創成はじめの三分間

宇宙創成はじめの三分間

はじめにこれだけは断っておこう。これはかの有名なるワインバーグの書いた本である。その点に注意して次の文章を読んでいただきたい。

たぶん、いつか誰かがやるだろう

なんと含蓄のあるお言葉。この世の真実である。次からはおもしろくも何ともないが、物理屋さん向けの文章。

私たちの誤りはわれわれの理論をあまりに真剣に受け取ることではなくて、われわれの理論を充分真剣に受け取らないことである。私たちが机の上でいじっているこれらの数字や方程式が、実際の世界とかかわっているということを実感するのはいつでも難しいことである。

宇宙を理解しようとする努力は、人間の生活を道化芝居の水準からほんの少し引き上げ、それに悲劇の優雅さをわずかに添える非常に数少ないことのひとつである。

読んでておもしろかった。物理を完全に知らない人が読んでもおもしろみはないだろうが、ちょっとでも知識がある人が読むと楽しめる、かも。

あと、統計力学すごいと思った。

有栖川有栖『モロッコ水晶の謎』

モロッコ水晶の謎

モロッコ水晶の謎

自分的、国名シリーズの三巨頭の一角をなす短編集(中編集?)こうまでゆがんだ(?)ロジックってのはなかなかおもしろいと思う。細かく書くと先入観を与えることになるので、この辺で。

法月綸太郎『法月綸太郎の冒険』

法月綸太郎の冒険 (講談社文庫)

法月綸太郎の冒険 (講談社文庫)

なにげに初読。とはいえ、アンソロに入っていたような作品はいくつか目にしていたが。ロジックで攻めてくるような作品はやっぱり好きだなぁ、と。

「図書館の司書さんが綸太郎に捜査協力を仰ぐ」という設定に対して、図書館は個人情報を公開しないんだから誤解されると困るという苦情がきたという話があとがきで紹介されていた。図書館に関連しない人間としては、強烈な違和感を覚えた。警察だって個人情報を公開しないのは当然である。それでも「警察が民間人に情報をだだ漏れにしている」という設定に対する苦情がきたという話は聞いたことがないからだ。ご都合主義の設定に目くじらたてられてもなぁ……、おもしろい作品が書けるような設定だったらPRにもなるんだからもっと書いてもらえればよいのにと思ったわけ。センサーが敏感すぎて、傍観者としてはちょっとひいてしまった。上司(?)のセンサーが鈍いと良いな、と思う今日この頃。

我孫子武丸『人形は眠れない』

これまたちょっと前に読み終わった。我孫子さんははずれが少ないし、軽く読めるような作品も結構あるから良いね。名作なのはだいたい軽く読めるような作品ではないのだけど。

お金と時間がほしい。人がほしいのって、今の自分が持っていないものだから。

乾くるみ『イニシエーション・ラブ』

イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)

イニシエーション・ラブ (ミステリー・リーグ)

しばらく前に再読。特に新しい感想はない。答えを知った上で読むと、自分の思考は極端に制限されてしまっているのだなと思ったぐらい。あと、「アインシュタインはかく語りき」という作中劇にはちょっと興味がある。見てみたいものだ。

綾辻行人『殺人方程式』・『殺人方程式?』

殺人方程式―切断された死体の問題 (光文社文庫)

殺人方程式―切断された死体の問題 (光文社文庫)

実は少し前に読み終わっていたのだけれども。そしてどちらも再読。

?の方が好み。そして思い入れもある。この作品、はじめて読んだのは高2の時だった。とある科目のとある参考書のとある問題に本当にあのトリックが載っていたから。「  トリック」っていうのはこういった場合だけを指すのかなと思っていた時期もあった。こういうのを思い入れと言って良いのかは微妙な気もするが。

どうやら永久積読および計画的積読本以外の積読本はすべて読み尽くしたらしい。